― 情報設計と運用ガバナンスの抜本的見直しを求めて ―

2026年6月


1. 提言の趣旨

本提言は、会津若松市公式ウェブサイト(https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/)が抱える構造的な問題を整理し、その改善を求めるものである。

会津若松市は「スマートシティ会津若松」を市の重要施策として掲げ、デジタル地域通貨・地域SNS・オンライン行政サービスなど、全国的にも先進的な取り組みを推進している。 しかしその一次情報の窓口である公式ウェブサイトは、情報設計・運用管理・デザインのいずれにおいても、スマートシティという看板と著しく矛盾した状態にある。

その実態は”目的のない建て増しが続いた結果、全体の構造が誰にも把握できなくなった建築物”に近い。

この矛盾は、移住・定住を検討する市外在住者、観光客、企業誘致の文脈で市を評価する事業者に対して、会津若松市のブランドイメージを棄損するリスクを有している。


2. 現状の問題

2-1. サイトの歴史的経緯

Wayback Machine(Internet Archive)による検証の結果、以下の変遷が確認された。

時期 状況
1997年2月 公式サイト開設。言語選択のみのシンプルな入口ページ。
2001年頃 3フレーム構造を採用。「観光」「物産」「歴史文化」をビジュアルアイコンで分類するなど、情報設計の意図が見られた。
2012年10月 現在のレイアウトに変更。「市民の方へ」「事業者の方へ」「観光の方へ」のタブ構造が導入されたが、中身の情報設計は伴っていなかった。
2026年現在 2012年のレイアウトのまま14年間変化なし。サイト開設から約29年、実質的なリニューアルは一度も行われていない可能性がある。

⚠️ 特筆すべきは、2001年版と比較して現在のサイトが「退行」していることである。2001年版には編集の意志とユーザーへの配慮が見られたが、2012年以降はそれが失われ、各担当課が情報を堆積させる場所になってしまっている。

2-2. 情報設計の問題

本市公式サイトの最も根本的な問題は、「発信側の論理」で設計されており、「受け手の視点」が欠落していることである。

(1)ターゲット別導線の不在

隣接する会津美里町(https://www.town.aizumisato.fukushima.jp/index.html)の公式サイトは、トップページで「町民向け」「観光向け」「移住定住向け」の3つのサイトに明確に分離されており、訪問者が自分の目的に応じた情報に即座にたどり着ける設計となっている。これは人口・予算規模ともに会津若松市を下回る自治体が実現している水準である。

一方、本市サイトのトップページは「担当課が持っている情報を載せる場所」として機能しており、誰に何を届けるかという設計思想が存在しない。

(2)問い合わせ導線の機能不全